【創業支援コラム】20230218 ハイボール39円と値決め+原価計算 | 高槻・茨木創業サポートオフィス

【創業支援コラム】20230218 ハイボール39円と値決め+原価計算

最近「足が冷える」という言葉の意味を実感し、ルーズソックスみたいな靴下を通常の靴下の上から二重に履き始めた廣岡です。

 

2023年1月、普段、在宅勤務をしていますが、久しぶりに高槻の商店街を歩いていた時のこと。

 

ふと飲食店の店舗をみると、、

 

「ハッピーアワー11:30~17:00 ハイボール39円」

 

と書いている看板が目につき、

 

「価格設定がマジですごすぎるし、ハッピーアワーの時間も超長い」

 

昼から飲む方を根こそぎ集客したいんだろうと思いながら、

 

「39円の売価は赤字かな?」

 

という疑問が湧いたので、ハイボールの原価計算をざっくりとしてみようとアマゾン検索。

→以下、面倒な算式を記載しているので【結論】まで読み飛ばして!

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・ウイスキーのブラックニッカ(アルコール37度) 4000mlで4,000円(1円/ml)

・炭酸水 1000mlで100円(0.1円/ml)

・コンビニの角ハイボールのアルコール度数7度、よってウイスキーに炭酸水を混ぜている割合はウイスキー1ml(1円)に対して炭酸水5ml(アルコール度37度/7度)(0.5円) 

・最小ハイボール単位6ml(ウイスキー1ml+炭酸水5ml)の原価は1.5円(ウイスキー1円+炭酸水0.5円)

・中ジョッキの容量を400mlと仮定して、氷をパンパンに入れると半分しか入らない(200ml)と仮定

・200ml÷6ml=33。33×1.5円=49円

・アマゾンで販売しているものが20%くらい利益がのっていると仮定して、49円×80%=39円・・・

→決して最初から39円に合わせようとしたわけではない

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【結論】ハイボール39円は利益がゼロ円。

 

このハイボールはお客様を集める集客商品なので利益を出す必要がなく、利益はフードで取るようなビジネスモデルで利益ゼロ円でも大丈夫なはず。

 

この集客商品であるハイボール39円のおかげ?か分からないけれども、店内は昼間から満員だったので、ハイボール39円は十二分に役割を果たしていました。

 

ビジネスで、原価と売価を把握することは非常に大事です(当たり前ですが)。

 

ただし、商品を仕入れて売るビジネスの原価は非常に分かりやすいですが、多くの創業者は商品の仕入をしないで、創業者自身の時間とノウハウを提供するビジネス(モノの仕入がない建設業、サービス業など)が多いです。

 

このようなビジネスをしている方は原価という考え方にあまりなじみがないと思います。

 

更に、売価も業界的に単価が決まっていることが多いです。

 

では、モノの仕入がないビジネスで原価と売価をどのように考えるかというと、いろいろな考え方があると思いますが、一つの考え方を提示させて頂きます(前提は1人でビジネスをしている会社)。

 

・創業者の稼働時間がパンパンになった時に自分の給与はいくら欲しいかを考える

・仮に月60万円はほしいと仮定

・1日7時間×月稼働日数22日=154H/月

・直接時間(お金を稼ぐ直接的な活動時間)割合を約70%と仮定

・154H×70%=約100H/月

・給与60万円/月÷100H/月=1時間当たり6,000円

・1時間当たり6,000円は創業者の人件費だけなので、その他経費などを加味してみる(業種によって異なるけれど、時間当たり2000円と仮定)

・よって、創業者の人件費(時間当たり6,000円)+その他経費(時間当たり2000円)=時間当たり8,000円で仕事をすれば、創業者の稼働時間がパンパンになったときに自分の理想の給与が貰えることになる(ただし、この場合は利益ゼロ円)

・更に、目標とする月の利益を20万円と仮定

・利益20万円/月÷100H/月=時間当たり利益2000円

・時間あたり8000円(人件費+その他経費)+時間当たり2000円(利益)=時間当たり10,000円の仕事をすれば、創業者の理想の給与+利益が出ることになります。

 

この考え方を聞いて、「自分のビジネスでは売価が合わないから無理」と考える人が多いかも知れませんが、どのように考えて取り組めばいいかをお伝えします。

 

1.自分のビジネスの中で、自分の理想の時間当たり売価を頂ける仕事はないかを確認して、もしあればその仕事を増やしていく

 

・現状のビジネスを得意先別または商品・サービス別に時間当たり売価を算出したときに、時間当たり売価はバラバラだと思います。

 

・時間当たり売価が自分の理想の売価になっている得意先又は商品・サービスがあれば、その得意先と同じような得意先を増やしたり、その商品・サービスに特化して得意先を増やしていくことで理想の時間当たり売価に近づいていきます。

 

・現状のビジネスの中で、理想の時間当たり売価をもらえる先がない場合は、儲かっていそうな同業は、どのような得意先または商品・サービスを提供しているかを調べて真似してみる

 

2.生産スピードをあげる

 

・例えば、いままでAという仕事に10時間かかっていたものを8時間で終わるように、生産時間を短くするために、どうすればいいかを考えて取り組んでみる

 

・生産スピードが上がれば、受注単価が同じでも時間当たり売価が高くなります(同じ時間でもたくさんの仕事が出来るようになる)

 

3.上記1,2に取り組んでも自分の理想の時間当たり売価にならない場合

 

・(試行錯誤と時間が必要になりますが)今のビジネスとは異なる事業で、自分の理想の時間あたり売価が貰えるものを考えて小さく取り組み、今のビジネスに加えていく

 

・当該別ビジネスが伸びてくれば、既存ビジネスを縮小していくことで理想の時間当たり売価が実現する

 

★★★不動産、株式、その他投資を事業に取り入れようとする場合、投資リスクが高いことが多いので要注意です(詐欺にも合いやすい)。。。

 

すぐに理想の時間当たり売価になることはないですが、追い求めていかない限り自分の理想の給与や利益になっていかないです。

 

原価や売価を考えることはビジネスにとって最も重要なテーマの一つなので、あなたも一度自分のビジネスの時間当たり売価や原価を把握してみてください。

ものすごい気づきが得られるかもしれません。

 

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